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突撃!体験レポート

教育について

多動性注意欠陥障害(ADHD)の子どもを着席させることはできるの?

多動性注意欠陥障害(ADHD)を持つ子どもたちに、近年注目が集まっています。

今のママ・パパ世代では判らなかった「ちょっと変わった特性を持つ子ども達」が、発達障害という脳の特性を持っていることが判ってきたのです。

さらに、発達障害を持つ子どもの中にも、いろいろな特性の違いがあることが判ってきました。

これまでは、

「授業をちゃんと受けられない子ども」

「じっとしていられない子ども」

「注意力の無い子ども」

で片づけられてきた問題行動が、脳の特性に起因するものという研究が進んできました。

特に、幼稚園や保育園での集団行動や、小学校での着席授業で目立ってしまいがちなのが、多動性注意欠陥障害(ADHD)を持つ子ども達です。

多動性注意欠陥障害(ADHD)とは、どのような特性を持つ発達障害なのでしょうか。

また、この特性を持つ子ども達を、着席させる方法はあるのか、調べてみました。
 

多動性注意欠陥障害(ADHD)ってなに?

多動性注意欠陥障害(ADHD)とは、どんな特性なのでしょうか。どのような特徴を持つのかを挙げてみます。

発達障害のひとつ

多動性注意欠陥障害(ADHD)は、発達障害のひとつです。
 

発達障害とは、文科省によると
 
・自閉症スペクトラム障害

・アスペルガー症候群

・その他の広汎性発達障害

・学習障害(LD)

・多動性注意欠陥障害(ADHD)
 
その他のこれに類する脳機能の障害
 
とされています。

自閉症スペクトラムとは生まれながらの脳の特性です。社会性の障害とも呼ばれ、他人との社会的関係をうまく築くことができません。また言葉や興味・関心・情緒面・知能などに発達の遅れが見られ、運動機能の発達に問題があることもあります。
 
アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラムの特性を持ちつつ、言語や知能の発達に遅れが見られない発達障害です。
 
学習障害は、全般的な知的・情緒の発達に著しい遅れは感じられないものの、読み書き計算、話の理解や論理的会話に問題が起きる障害です。視覚や聴覚、知的・情緒になんらかの問題があると生じると考えられています。
 
自閉症をはじめ、発達障害は社会性の障害です。
 
そのため、子どもの社会性が育つ2~3歳以上で言語発達の遅れから気づくケースや、学校での集団学習が始まってから気づくケース、大人になってから気づくケースも少なくありません。

自閉症スペクトラムの「スペクトラム」とは裾野という意味があり、重度自閉症を頂点に、誰もが持つ「自閉傾向」に至るまでを総括します。

その中で、生活や学習・就業に社会的支援が欠かせない状態の人々が、障害と認定されます。また脳の特性の中でも特に突出している部分によって、どの発達障害に類するかを診断します。

自閉傾向は、人間誰しも持っています。「ちょっとしたこだわり」や「身震いするほど苦手なもの」「人付き合いへの苦手意識」など、誰もが感じることがあるのではないでしょうか。
 
視覚情報の方が聴覚情報より理解しやすかったり、抽象的な指示や禁止事項より「やるべき適切かつ具体的行動」を指示される方が理解が早かったりという傾向も、自閉症的傾向と言われますが、人間の多くが当てはまります。
 
こうした自閉傾向は特別なことではありません。また近年発達障害への認知が広まるにつれ、発達障害と気づく人・気づかれる子どもも増えて、支援の輪が広がりつつあります。

文部科学省

 

多動性注意欠陥障害(ADHD)とは

多動性注意欠陥障害(ADHD)とは、大きく3つの特徴が指摘される脳の特性です。

 

1.多動性…じっとしていることが苦手で、落ち着きがない。自分の行動のコントロールが難しい

2.不注意(注意欠陥)…集中力が持続しない。注意力が散漫。

3.衝動性…衝動的な感情や行動がおさえられない。

 

多動性注意欠陥障害(ADHD)は、子どもと大人で若干傾向が変化します。

 

子どものころは、多動性と衝動性が目立ちやすく、椅子に座ってじっとしていられなかったり、授業中大人しくしていられなかったりします。

大人になると注意欠陥が目立ちやすく、予定や行動を順序だてて考えられないため、忘れ物や遅刻が増えたり、ものを片付けられなかったりといった傾向が出てきます。

多動性注意欠陥障害(ADHD)の子どもと周囲のすれ違い

多動性注意欠陥障害(ADHD)を抱える子ども達は、学校生活や日常生活を送る上で、さまざまな困りごとを抱えています。
 
そのため、一般的な教室での集団教育や、発達障害に対して全く理解のないスタッフしかいない習い事に通わせると、子どもにとって負担になることもたくさんあります。

子どもにとって負担となることばかりではありません。教室にいる他の子ども達や教員、習い事のクラスにいる子ども達やスタッフに迷惑をかけてしまうこともあります。

これは、ADHDの子ども達が悪いわけではありません。また、他の人々が悪い訳でもないのです。

多動性注意欠陥障害(ADHD)の子どもひとりひとりの特性をよく観察し、理解した上で、適した対応をセレクトしていくことが大切です。

ADHDの子どもに学習をさせるにあたり障害となること

ADHDの子ども達に学校で授業を受けさせたり、習い事をさせたりするにあたって障害となることはたくさんあります。

特に困るのが「じっと着席していることが難しい」という点です。

 

 

そのほかにもさまざまなポイントがあるので、まずはADHDの子ども達が抱える困りごとについて詳しくご紹介していきます。

落ち着きがない

ADHDの子ども達には、脳に本来搭載されているブレーキ機能がうまく働かないという特性があることが、少なくありません。

脳のブレーキ機能は、脳の覚醒状態を調整したり、無数に入ってくる感覚情報の中から必要なものにチャンネルを合わせたりするなどの働きをします。

しかし脳の覚醒状態をうまくコントロールできないと、興奮状態や不機嫌な状態が続いてしまうことがあります。

また感覚情報のチャンネルコントロールがうまくいかないと、自分にとって重要な情報が判らず、どう行動することが適切なのか判断できなくなってしまいます。

たとえば、ブレーキの利きが不安定な車で、信号機や道路標識が大変見づらい道を走るような状態なので、安心・安定していることが難しいのです。

そのため、ADHDの子ども達には、落ち着きがない、感情や気分の浮き沈みがうまくコントロールできないといった特性が見られることがあります。

身体を常に動かしている子が多い

ADHDの子ども達には、バランス感覚をコントロールする脳の機能がうまく発達していないケースもあります。

バランス感覚がきちんとコントロールされると、まっすぐに立ったり、じっと姿勢を正したり、美しく歩くなどの行動が上手にできるようになります。

しかしバランス感覚がうまくコントロールされないと、姿勢がすぐに崩れたり、立ってすぐにくにゃくにゃ身体が動いてしまったりします。

さらにバランス感覚も覚醒状態もコントロールできずにいると、子どもは大変不快な気分になり、感覚をはっきりさせるために自身で刺激を求めます。

その結果、あちこちグルグルと走り回ったり、突然どこかへ行ってしまったり、回ったり高い場所に上るなど、一般的に危険と言われる行動を常にとっている子が多くなるのです。

目的なくじっとしていることが非常に不快

ADHDの子ども達は、自分の感覚を脳内だけでうまくコントロールできないため、身体をくねらせたり、突然走り回って大声をあげたりすることで、自分に刺激を与えることがあります。

覚醒状態もうまく制御できないので、走り回っていたと思うと、いきなりゴロンと横になり、ぐにゃぐにゃと寝転がったまま起きない姿もよく見かけます。

ADHDの子ども達にとっては、こうした外的刺激を自分で得ることで心身のバランスを保とうとしているため、目的なくじっとしていることはとても不快な状態です。

「たいして興味のない勉強や、先生のよく分からない話を聞くためにじっと座っている」ことは、耐えがたい不快をともなう苦行と言えるでしょう。

ひとつのことに集中できない・自分の興味があることにしか集中しない

私たちは常に、視覚・聴覚・嗅覚・触覚など、さまざまな感覚器官から情報をもたらされています。

しかしそれらをすべて全力で受け止めてしまうと、情報過多でパニックになってしまうため、自分にとって重要なこと、興味あること以外はほぼスルー出来るように制御機能があります。

制御機能も脳のブレーキが行っているのですが、ADHDの子ども達は情報の取捨選択や制御ができないせいで、集中が苦手ということが少なくありません。

逆に自分の興味・関心があることに対してのブレーキも利きにくいため、好きなことには異常なまでに集中してしまいます。

その結果、約束の時間を守ることができなかったり、気分の切り替えができなかったりといったトラブルにつながってしまうのです。

 

複数の人間に向けた言葉を捉えにくく、集団行動が難しい

ADHDの子ども達は、集団の中で周囲の人に合わせて行動することが苦手です。多数に向けての号令などは、自分への言葉としてとらえることが難しいのです。

さらに集団行動は、たいていの場合自分が求める自身への刺激とはまったく違ったふるまいや行いを要求されます。

さらに「じっとしている」「動かない」という比較的抽象的で分かりづらい指示を出され、「動いちゃダメ」「走らない」など、禁止ばかり押し付けられることも苦手です。

そのため、集団の中に入って、集団と同じように行動することはとても困難です。

知的・情緒・認知の遅れをともなう場合もある

多動性注意欠陥障害(ADHD)の子ども達の中には、知的な発達の遅れや情緒面・認知面の発達の遅れをともなっているケースも少なくありません。

自閉症スペクトラムと診断された子どもが、多動性注意欠陥障害も併発していることは非常によく見られます。

知的・情緒の遅れがないと診断されても、落ちついて勉強できないため、集団の勉強から遅れてしまうこともあります。

 

一度に2つ以上のことをこなすことが難しい

発達障害を持つ子ども全般に見られる傾向ですが、一度に2つ以上のことを聞き取ったり、やり遂げたりすることが難しいという特性があります。

聴覚よりも視覚が優先されることが多いので、「先生の話を聞きながら板書する」などは、特に難しいミッションであると言えるでしょう。

多動性注意欠陥障害の子どもを着席させることは難しい

それでは、多動性注意欠陥障害(ADHD)の子どもを着席させておくことは可能なのでしょうか。その結論に迫ります。

着席自体はできても、じっとさせることはかなり難しい

結論から言えば、多動性注意欠陥障害(ADHD)と診断された子どもたちを、長時間じっと着席させておくことはまず不可能です。

椅子に座らせることは可能でも、くねくねしたり、すぐに立ってしまったり、椅子をガタガタさせたりと落ち着かない子が多いでしょう。

一度着席させても、10~20分以上持続させることは難しい

椅子に座らせることができたとしても、せいぜい数分で飽きてしまいます。よほど集中することが目の前になければ、ただ「座っている」だけの状態は、10分も持ちません。

「着席すること」だけに焦点を当てると、向いていない

目的が「静かにじっとおとなしく着席していること」であれば、多動性注意欠陥障害(ADHD)の子どもたちは、まったく向いていません。

静かにじっとおとなしくしているという目的は、ADHDの子ども達にとって何より苦手な行動のため、その目的のために集中することはできないのです。

多動性注意欠陥障害(ADHD)の子どもの特性をしっかり理解しよう

多動性注意欠陥障害(ADHD)と診断された子どもにとって、普通学級で45分間じっとして授業を聞いていることや、集団指導の塾などは合っていません。

 

 

こうした学級学習や塾での学習は、おとなしく席について先生の話を聞けることが前提です。

そのため、合っていないのです。

多動性注意欠陥障害(ADHD)の子どもに習い事をさせるのであれば、特性をよく知り、それに合った学習環境や習い事を選んであげることが最優先です。

もっとも避けたいのは、「どうしてじっとしていられないの!」「なぜ他の子と同じようにできないの!」と、頭ごなしに叱りつけることです。

ADHDの子ども達は、親を困らせるために走り回っているわけではありません。不快感を解消する方法がなく、どうしても走り回ってしまうのです。

自分でもやめる方法が判らず、苦しんでいる子どももいます。それなのに大好きな親から頭ごなしに叱られると、自己肯定感まで失ってしまいます。

まずは子どもの特性をよく知り、子どもがどんな苦しみ、つらさを抱えているのか共感してあげましょう。

じっと着席していることだけが、良い子の条件ではありません。子どもの特性を知れば、我が子に合った学びの形が見えてくることもあります。

そして何より大切なのは、子どもの特性に合った学びの場を見つけてあげること、そして親はどんな時でも受け止め理解への努力を惜しまない「ホーム」でいてあげることです。

 

  • 2020.2.7
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